コラム   2025年04月16日

【シンポジウム】「人」イノベーション ー特定技能・技能実習生から最先端高度頭脳人材までー

《3月24日にシンポジウムを開催》
2025 年3月24日、弊社(アセアン・ワン株式会社)は、インド大使館の共催、公益財団法人日印協会、日本貿易振興機構(JETRO)の後援のもと、東京の帝国ホテルにて、『「人」イノベーション 特定技能・技能実習生から最先端高度頭脳人材まで』と題するシンポジウムを開催した。


開会の辞を体調不良のシビ・ジョージ駐日インド特命全権大使に代わってマドゥ・スダン臨時代理公使から頂いた後、JETROの仲條理事から祝辞を頂戴した。その後、寺島実郎・日本総合研究所会長、額賀福志郎・衆議院議長、君塚宏・出入国管理庁審議官、田中一成・経済産業省審議官に、それぞれの専門的な見地からご講演を頂戴した。特に額賀衆議院議長には『Nプロジェクト「五万人インド人材構想」』と題する特別講演を行って頂いた。また、石破内閣総理大臣とアッサム州首相のヒマンタ・ビスワ・サルマ博士からはビデオメッセージをお届け頂いた。


約 300 名の企業経営者や経営の中枢を担われている企業幹部の方々にご参加を賜ることができた。高度IT分野の人材から、地域のインフラや安全安心を確保するためのマンパワーまで、幅広いレンジで、長期安定的に良質な人材の確保が見込めるインドの魅力をアピールできたとすれば幸いである。

《セミナー開催のきっかけはインド工科大学カンプール校の「JAPAN DAY」》
弊社がこのセミナーを企画したのは、インド工科大学カンプール校の学生との交流を通して、日本とインドの人材交流のポテンシャルの大きさに気付かされたためである。この”気付き”を多くの皆様と共有すると同時に、インドの政治経済上の重要性、日印政府間交流の実績、日本政府の外国人材活用方針及び制度設計に対する理解を深めていただき、日本とインドのより良い未来に貢献したいと考えたのである。

弊社は2024年9月27日にインド工科大学カンプール校では初めとなる、日本企業に特化した新卒学生向けの就職説明会「JAPAN DAY」を主催した。インド工科大学といえば世界屈指の理系大学であり、その学生たちは想像を絶する受験戦争を勝ち抜いてきた超高度頭脳人材である。この取り組みに対し「グローバルIT企業との採用競争に勝てないのではないか」といった否定的な意見もあったが、「JAPAN DAY」には想定を上回る学生が、想像を超える熱量で参加した。彼らはそれぞれのキャリアアップを目指して日本企業の提供した機会を真剣に検討し、最終的には1社あたり600名を超える学生が「JAPAN DAY」に参加した日本企業への就労を希望した。この結果、参加した日本企業は高度IT人材の採用に一定の成果をあげることができた。もちろん、この成果は参加企業のチャレンジ精神と事前準備の賜物であるが、弊社はこの学生たちの”熱量” を、見聞した事実として、より多くの日本企業の皆様にお伝えしたいと考えたのである。以上の事実は、インドの若者に対して日本サイドから積極的にアプローチすることによって、人数的には極めて大きな成果を得る可能性があることを示している。弊社はこのようなポテンシャルを、日本とインド両国民の幸福に繋げるべく、アッサム州に職業訓練機能を併せ持った日本語学校の設立を目指している。

《アッサム州政府と共に「職業訓練機能を併設した日本語学校の設立」を目指す》

弊社は2025年2月25日、インドのアッサム州のグワハティで開催された「アドバンテージ・アッサム 2.0 ―投資とインフラサミット2025」に参加し、アッサム州政府との間で「職業訓練機能を併設した日本語学校の設立」に関する覚書を交わした。アッサム州の若く、優秀な人材を集め、選抜し、日本語の教育はもちろん、先ずは雇用の不足感が著しい職種(IT、ドライバー、介護、建設など)について実務訓練を実施できる教育機関を設置するというプロジェクトの始動である。

衆議院議員議長公邸前にて、左からドウィヴェディ博士(首相付主席秘書官)、シビ・ジョージ インド大使、サルマ博士(アッサム州首相)、額賀衆議院長、西川弊社代表)

弊社単独でも5年間で5万人規模の教育訓練済みの即戦力を送り込む目標で事業を進める考えである。先に触れたように、インド人材のポテンシャルは膨大であり、日本で働く魅力をアピールできれば、人材のクオリティを向上させながら、5年で5万人という数値目標を達成することは十分に可能と考えている。人材を雇用機会の不足に悩むインドの若者たちに広くチャンスをもたらし、人材不足に悩む日本に安心と安定をもたらすため、アッサム州政府の全面的な協力を得ながらプロジェクトの成功を期したいと考えている。近隣に中国と国境紛争を抱えるアッサム州を中心としたインド北東部地域は、大きな経済発展のポテンシャルを有しているうえ、安全保障上、経済交流上、極めて重要な地域と考えられ、インド政府の「アクトイースト」政策や、日本政府の「自由で開かれたインド太平洋」戦略においても注目されてきた。また、日印両政府は2017年に「アクト・イースト・フォーラム(Japan-India Act East Forum)」を立ち上げ、同地域の発展の後押しに協力して取り組んでいる。アクト・イースト・フォーラム」はアッサム州を中心としたインド北東部のインフラ整備などで大きな成果を挙げており、この地域での日本の評価に大きなプラスとなっているようだ。アッサム州首相のヒマンタ・ビスワ・サルマ博士は「教育を受けても働けない」という現在のインドの雇用状況を深刻に受け止め、日本の雇用機会提供に大きな期待を寄せていただいている。
額賀福志郎・衆議院議長は、ご自身も深く関与してきた日印間の外交、経済、政治面での深いつながに比べて、人材交流のレベルは向上の余地が大きく残っていると認識されている。また、労働人口減少によるマイナスの影響を取り除く、より良い共生社会実現するための一つの手段として、教育水準や日本語レベルの高い人材を長期、安定的に供給できる仕組みが必要と考え、弊社の構想の推進に積極的にご協力いただいた。弊社が設立を目指している「職業訓練機能を併設した日本語学校」は比較的恵まれた環境で産声を上げることができるかもしれない。

《アッサム州政府と共に「職業訓練機能を併設した日本語学校の設立」を目指す》

「アドバンテージ・アッサム2.0 ―投資とインフラサミット2025」は盛況だった。モディ首相をはじめ、インド政府の主要メンバーが参加しており、アッサム州に対する中央政府の思い入れを強く感じ取ることができた。アッサム州政府によれば、15の分野で 164 の覚書が締結され、コミットされた投資額は5兆インドルピー(590億ドル)に達したとのことである。アッサム州のサルマ首相は、この投資をエンジンとし、2030年までにアッサム州のGDPを現在の2倍強となる1,430億ドルにすると言明した。

(アドアバンテージアッサム2.0の会場の様子。モディ首相、サルマ・アッサム州首相、多くのインド政府高級官僚、各国の閣僚 級要人や財界人が参加した)

投資額は2018年に開催した前回のサミットの5倍に達したが、実効性に疑問を持っている向きもある。前回のサミットでは、コミットメントに対し、実際に投資が実行された額がその5割程度にとどまったためだ。しかし、アッサム州政府はその原因を分析し、今回のサミットでは、官僚的な非効率性の改善やサポート体制の強化を進めたうえで、提案の厳格な審査に取り組み、コミットメントの完全実行を目指している。弊社の提案に対する審査も厳しいものだったが、サルマ首相に対して直接説明する機会を得て、覚書の締結に至った。勉強熱心なインドの若者を、実践的な教育を通して日本の雇用に結びつけ、インドのポテンシャルを日本の明るい未来に結び付けるべく、職業訓練機能を併設した日本語学校の設立」の成功に邁進したいと考えている。

《我々アセアン・ワン株式会社がお役に立てること》

我々は協同組合「善美」(https://www.zenbicoop.com)を通して、15の国々(インド、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、ミヤンマー、インドネシア、カンボジア、ラオス、ベトナム、モンゴル、タイ、フィリピン、中国など)で35の送出機関と提携し、各国政府関係者や在日大使館との協力関係を深化させながら、多様な人材マッチングのお手伝いしております。事業活動の中で、IT 関連を中心とした高度人材の不足への対応について、ご相談を頂戴する機会が増えてまいりました。 IT 分野のみならず、日本企業の技術の継承や活性化のために、今後は高い専門性を有した外国人材採用の必要性が高まると考えます。特に発展途上にありながらも世界最高水準の教育機関を多数有するインドでの大学生や高学歴者の採用は必要になると考えます。弊社はインド工科大学との友好な関係を活用して、今後のインド工科大学の新卒学生の採用活動を支援し、日本企業の皆様のお役に立ちたいと考えております。また、4月1日に発表された日銀短観によれば、非製造業の中堅企業や中小企業の雇用不足感は、景気の過熱を通り越して、膨大な機会損失が発生しているような危機的な状況です。人手不足による営業日数や時間短縮はいまや当たり前になっているのかもしれません。このような日本企業の危機を救い、日本経済の成長抑制要因を取り除くためには、育成就労制度や特定技能制度を活用しながら、マンパワーをより大規模に、より安定的に、より高品質に供給する仕組みづくりが必要と考えております。そのようなニーズに対しても丁寧に対応させて頂きます。

我々は、「良い人材を紹介するのは当たり前、日本一のアフターケアーを目指す」をモットーとしております。常に「不安」に直面するお客様に対して、迅速かつ丁寧に、改善志向のソリューションを提供すること、予期せぬ問題が発生した際の対応のスピードこそが、長いお付き合いの基本と考え、事業を行って参りましたが、様々な分野で日本の人口減少が加速する2025年は、まさにお役に立てる年になるとの思いを強くしているところであります。是非一度、ご面談の機会を賜りますようお願い申し上げます。

参考になった方は高評価をお願いします。