コラム   2025年10月21日

額賀衆議院議長率いる使節団によるアッサム州訪問

《大歓迎された額賀衆議院議長使節団のアッサム訪問》

 額賀衆議院議長を団長とする50名余の使節団が、5月3日から5日まで、インドのアッサム州を訪問した。弊社も代表の西川をはじめ、数名の社員が同行した。

 想像を超える歓迎だった。長らく低迷が続いたために自信喪失気味の日本だが、これから発展しようとする国の人々にとって、まだまだ学ぶべきことが多くある国と考えていただいているのだろう。街中のいたるところに使節団来訪を知らせるポスターが掲示され、アッサム州の主要新聞2紙が、翌日の朝刊の一面トップの特集記事で使節団の訪問を伝えるなど、使節団に対する政府関係者の深い歓迎の意、一般市民の高い関心を感じ取ることができた。恐らく、現時点で、額賀衆議院議長はアッサム州で最も有名な日本人といえるだろう。

 使節団は、5月3日の午後にアッサム州のグワハティに到着し、夕刻にアッサム州のヒマンタ・ビスワ・サルマ首相(以下、サルマ首相)と1時間程度会談した。その後にアッサム州政府主催の歓迎会及び夕食会が行われ、アッサム州政府幹部らの心温まる歓待をうけた。4日にはインド工科大学グワハティ校、弊社が主導する日本語学校の建設現場、タタ・セミコンダクターの半導体製品組立工場の3ヶ所を訪問し、日本とインドの学術交流、人材交流、先端技術分野での協力などについて意見交換が行われた。夕刻からは、サルマ首相の私邸で開催された晩餐会に、額賀衆議院議長をはじめとする使節団の一部のメンバーが招待された。5日の午前に使節団は帰国の途に就いている。なお、帰国後に額賀衆議院議長から、心のこもった礼状を頂戴し、その中で日本とアッサム州の関係発展に引き続き尽力されるお考えを表明されている。

 インドと日本の双方の利益を極大化するため、相互の強みや弱点を理解しながら相手を尊重し、意見を交換するアッサム州のサルマ首相と額賀衆議院議長の姿勢には、政治や外交の崇高ささえ感じられた。弊社はこの政治的・外交的な財産を日本とアッサム州の人々に還元するべく、「職業訓練機能を併設した日本語学校の設立」プロジェクトの成功に邁進し、日本とインドの関係発展に貢献する決意を新たにしたところである。

《順調に進む「職業訓練機能を併設した日本語学校の設立」プロジェクト》

弊社は2025年2月25日、インドのアッサム州のグワハティで開催された「アドバンテージ・アッサム2.0 ―投資とインフラサミット2025」に参加し、アッサム州政府と「職業訓練機能を併設した日本語学校の設立」に関する覚書を交わした。アッサム州の若く、優秀な人材を集め、選抜し、日本語教育はもちろん、先ずは日本で雇用の不足感が著しい職種(IT、ドライバー、介護、建設など)の実務訓練を実施できる教育機関を、アッサム州のグワハティに設置するというプロジェクトを始動させた。

 今回の訪問では、その進捗が順調であることが確認できた。使節団の訪問先の一つにもなった日本語学校施設の建設は、アッサム州政府の観光センター内に別の用途で建設中だった建物を転用するかたちで急ピッチに進んでおり、2025年12月に完成する予定となっている。また、既存の観光センターのビルの一部を教室と職員室として貸与されることも決まっており、学校の早期立ち上げや準備の場も確保できている。最新鋭の設備を備えた施設で教育が行われることになり、素晴らしい教育環境が提供できる見込みである。覚書を交わしてまだ3ヶ月しか経過していないが、ハードウェアの準備は目を見張るものがあるし、アッサム州政府のプロジェクト成功に向けた熱意も十分に感じることができた。

 弊社は使節団が帰国した後もグワハティに残り、5月5日は終日、アッサム州政府と「職業訓練機能を併設した日本語学校の設立」について断続的に会議を行い、教員確保、教育施設の準備、運営管理などについて意見を交換した。もちろん、検討すべき課題も多いが、アッサムの若年雇用問題と日本の人手不足問題を、高いレベルで一気に解決するという理想に向けて、双方の思いは一致していることは十分に感じ取ることができた。なお、サルマ首相も、多忙なスケジュールを割いて、22時30分から24時過ぎまで、会議に参加していただいている。

《メーガーラヤ州訪問》

 5月6日、弊社はアッサム州に隣接するメーガーラヤ州を訪問した。アッサム州の南に位置し、そのさらに南はバングラデシュ国境である。人口は約300万人で、国土のほとんどが高原地帯となっている。労働人口の約65%が農業に従事する貧しい地域だが、若く、優秀な人材が海外の就労機会を積極的に目指している。1972年にアッサム州から分離した歴史を持つ。

 実は4月中旬に、訪日中だったメーガーラヤ州のサングマ首相から弊社の西川に対して面会の希望を頂戴し、それを受けて急遽、滞在中のホテルで会談することとなった。その場で、弊社のインド人材育成方針に関心を持っていただき、サングマ首相から弊社に対し、メーガーラヤ州への訪問を要請され、今回の訪問となった。

 5月6日は、サングマ首相との会談に先立って、当日実施されていた就職フェアにおいて講演の機会を頂戴した。講演は、看護学校の生徒が集まるセッションで行われ、弊社の西川は、日本の魅力、日本で働く素晴らしさを熱く語った。多くの学生にとって、日本は「未知の国」なのだろうが、関心は極めて高いようである。多くの看護学校の生徒から囲みで質問をいただき、写真撮影もさせていただいた。

 サングマ首相は、既にドイツ向けに介護や看護の人材の送出を軌道に乗せている。見学させていただいたが、実習訓練のための施設もかなり充実している。この実績を活かし、今後は日本への送出にも積極的に取り組みたいという考えを持たれている。サングマ首相との会談では、そのための日本語教育に必要な人材の確保、日本の外国人材のマーケティングについてのサポートなどについて意見をもとめられた。弊社はサングマ首相の要望に応えるべく情報提供に努めることを伝え、日本特有のニーズなどへ対応したスムースな人材送出が可能となるように全面的に協力することを約束した。相互理解が急速に深まり、サングマ首相は、早急に弊社と包括的な覚書を交わすことを希望された。介護の分野で、既にドイツなど先進国への人材供給に成功しているメーガーラヤ州のトップと良好な関係を構築できたことは、今後の日本への介護・看護人材の安定供給に大きな意義があると考えている。

《インド工科大学グワハティ校への訪問》

  5月7日、弊社は再度インド工科大学グワハティ校を訪問し、同大学の学長のデヴェンドラ・ジャリハル教授と会談した。インド工科大学グワハティ校は、インドの教育省が発表する「国家機関ランキングフレームワーク(NIRF)」におけるインドの大学ランキング(2024年)で工学部門7位、総合部門で9位にランクされているうえ、インド国外でも高い評価を受けている理工系の名門大学である。

 弊社は、2024年のインド工科大学カンプール校での実績(弊社Lion at Bay Vol. 30参照)をもとに、学長に対してグワハティ校でのジャパンディ(日本企業に限定した学生向けの合同企業説明会)の開催と、それに先立つ日本での説明会実施のために来日されることを提案した。学長からは、日本との結びつきを強化したいというお考えのもと、単位取得が可能な日本語クラスを設置する予定を明らかにされ、弊社に対して日本語教師の採用への協力を依頼された。

 日印両政府は2017年に立ち上げた「アクト・イースト・フォーラム(Japan-India Act East Forum)」は、アッサム州を中心としたインド北東部のインフラ整備などで大きな成果を挙げており、この地域での日本の評価向上に大きく貢献してきた。そのため、アッサム州を中心としたインド北東部での日本に対する漠然とした親近感、信頼、好意などは高水準になっているようだ。このような政治・外交が創り上げてきた成果を一段と発展させるためには人的交流の加速が必要で、その基礎となるのは日本語教育と考えられる。そして、この認識は、アッサム州のリーダー層には広く共有されていると考えられ、アッサム州全体での日本語教育の普及が加速する可能性は高い。これは、弊社が設立する「職業訓練機能を併設した日本語学校」への入学者の増加、生徒の質向上、より実践的な訓練に時間をさけることに繋がり、弊社のプロジェクトにとってはフォローの風になることが期待できる。

 サルマ首相は、2025年3月2日にアッサム州のディブルガール大学で、来年度から日本語コースを開設することを発表している。ディブルガール大学は、アッサム州内の10地区に177の提携カレッジを持ち、地域社会と強く結びついた高等教育機関であり、今回の日本語コースの設置は、日本語教育が州全体に広く普及することを目的としているとみることができよう。弊社の「職業訓練機能を併設した日本語学校」は、このように広がる日本への具体的な関心を、日本とインドの人材交流の拡大に結びつけ、訪日するインド人の幸福の実現と、採用する日本の企業や団体の価値向上に貢献することを目指したいと考えている。

《我々アセアン・ワン株式会社がお役に立てること》

 我々は協同組合「善美」(https://www.zenbicoop.com)を通して、15の国々(インド、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、ミヤンマー、インドネシア、カンボジア、ラオス、ベトナム、モンゴル、タイ、フィリピン、中国など)で35の送出機関と提携し、各国政府関係者や在日大使館との協力関係を深化させながら、多様な人材マッチングのお手伝いしております。

 2030年に向けて日本の生産年齢人口は異次元の減少ペースに突入します。ここまでの減少には女性や高齢者、育成就労制度などによる外国人材の活用によって対応ができましたが、今後は企業のブランド価値や、公共団体のサービスの水準維持について、同様の対応だけで十分ではなくなるかもしれません。人材の質を維持しながら、従来以上の量を確保するためには新たな人材開発戦略が必要になると思われます。

 実際、弊社が「職業訓練機能を併設した日本語学校の設立」を目指すのは、人材の量だけではなく質にも配慮しながら外国人材の雇用を進めたいとお考えになるお客様が増え、弊社も人材開発フローの川上への介入が必要になると考えたためです。

 我々は、「良い人材を紹介するのは当たり前、日本一のアフターケアーを目指す」をモットーとしております。常に「不安」に直面するお客様に対して、迅速かつ丁寧に、改善志向のソリューションを提供すること、予期せぬ問題が発生した際の対応のスピードこそが、長いお付き合いの基本と考え、事業を行って参りましたが、様々な分野で日本の人口減少が加速する2025年は、まさにお役に立てる年になるとの思いを強くしているところであります。是非一度、ご面談の機会を賜りますようお願い申し上げます。

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