コラム 2025年12月01日
アッサム州での日本語学校開校とメガラヤ州拠点開始
《10月3日からインド北東部を訪問》
弊社(アセアン・ワン株式会社)は、10月3日からインド北東部3州を訪問した。既にご報告申し上げている通り、弊社はインドのアッサム州のグワハティで「職業訓練機能を併設した日本語学校」を設立するというプロジェクトを進めているが、この学校がいよいよ開校の運びとなり、10月12日に開校セレモニーが行われることとなった。今回の訪問の主な目的はこのセレモニーへの参加だった。

セレモニーより少し早めの10月3日にインド入りしたのは、10月6日にナガランド州の首相との初めての会談を行い、10月8日にメガラヤ州政府高官との打ち合わせを行うためである。ナガランド州首相との会談では、日本語教育普及に関する協力を求められ、2週に一度のペースで、双方の関係者がオンラインでの会議を行うことを決めた。メガラヤ州では、2名の日本人教師の人選が決まったことを報告し、開校準備の詳細を話し合った。これによりメガラヤ州での日本語教育が本格的にスタートすることになる。なお、同州のサングマ首相は当初、スケジュール調整がつかないとのことだったが、急遽出張先から戻られ、旧交を温める時間を頂戴した。
弊社は2025年1月22日にインド大使館で開催された「FOCUS‐ASSAM」というセミナーに参加させていただき、その際のアッサム州のサルマ首相との出会いをきっかけに「職業訓練機能を併設した日本語学校」設立プロジェクトをスタートさせた。「日印両国に幸福をもたらす」という共通の「志」のもと、様々な困難を乗り越え、なんとか「職業訓練機能を併設した日本語学校」の開校という一里塚に辿り着けた。
《アッサム州の本気度》
10月12日に開かれたセレモニーではアッサム州政府の本気度が示された。セレモニーの場で、サルマ首相は、CM-FLIGHT(Chief Minister’s Foreign Languages Initiative for Global Human Talent、首相によるグローバル人材育成のための外国語習得イニシアティブ)というスキームの詳細を明らかにし、アッサム州の若者にスキームの利用検討を直接呼び掛けた。このスキームは既に7月の閣議で承認されていたが、多くの人はスキームの詳細な内容を、開校セレモニーでサルマ首相から直接知らされたことになる。サルマ首相は雇用機会が少ないことに悩むアッサム州の若者に対して直接このスキームを提案したかったのではないだろうか。学生数を増やそうとする積極的な姿勢をみて、このスキームの成功に対するサルマ首相の本気度を窺い知ることができた。いつまでも一里塚に辿り着けたことを喜んでいるわけにはいかないことを思い知ることとなった。
《CM-FLIGHTの内容》
CM-FLIGHTの目的は、アッサム州の若者を、外国語能力および求められる技能を備えたグローバル人材に育成し、先進国を中心とした海外の雇用機会にチャレンジできるようにすることである。初年度の外国語訓練は日本語に限定されており、他の言語への展開は今のところ未定であることから、このスキームが、高いレベルの日本語能力習得(N2水準相当)と、特定技能制度を通じて日本での就労を目指すものであることは明らかである。就労予定先についても、日本で就業者不足が深刻な産業分野が優先されている。

支援金や補助については、政府が、学生の負担を極力低減するため、積極的に実施する方針だ。また、CM-FLIGHTを利用する場合、不足する金額を銀行から融資してもらえるようになる見込みである。日本での就労に向けた挑戦の経済的なハードルを下げ、不当な中間搾取を排し、債務労働者の状態に陥らないことが十分に配慮されている。
アッサム州政府は、日本での収入見込みなどを例示しながら、このスキームを利用して日本での就労する場合の経済合理性を説明し、応募者の増加を図っている。まだまだアッサム州における日本の認知度は低く、特に就労場所としての認知度は著しく低いようだ。このため、5年で5万人という目標を達成するために、就労場所としての日本を紹介するようなプロモーションなど、あらゆる角度からの積極的な応募者数増加対策は必要になるだろう。
弊社が設立した学校は、CM-FLIGHTの中核を担うものである。また、運営体制については、弊社が当初から目指していた通り、アッサム州の政府機関と協力しながら、ワンストップで学生と日本企業を結び付ける体制が明確化されている。習得した技術や日本語能力の評価をベースとして、日本企業の雇用ニーズと学生の就労意志の両方を尊重しながら、相互により高い水準の幸福を実現できる体制になっている。すなわち、働くインドの若者は学んだことを活かしながら自己実現の可能性がより高い職業への就労にチャレンジでき、受け入れる日本の企業は能力や就業意欲のミスマッチを排除しながら高い定着率や生産性の向上、人権問題の完全排除が見込めるようになり、民間交流の飛躍的な拡大によって日印両政府の関係はより一段と強固なものになるだろう。そして、この「三方よし」の好循環は、日本の潜在成長力を高め、日本の歴代首相が掲げた「共生社会」の実現に寄与するだろう。CM-FLIGHTは日本とインドの明るい未来を実現するために大きな役割を果たす制度であり、弊社はできうる限りの協力を惜しまない覚悟である。
《メガラヤ州での日本語教育もスタート》
2025年11月17日、弊社会長の西川は、2名の日本人の日本語講師を伴い、メガラヤ州の州都シロンを訪問した。同州の職業訓練施設に新設された日本語学校の開校セレモニーに参加するためである。なお、同行した2名の日本人の日本語講師はその学校の日本語教育を主導する人材であり、10月8日の同州幹部と交わした約束に基づくものである。

(中央左がサングマ首相、同右が弊社会長西川)
サングマ首相は、雇用機会の少ないことに悩む前途有望なメガラヤ州の若者に、より良い就労機会をもたらすことに極めて熱心である。先進国の若年労働者不足が長期化することに注目し、メガラヤの若者たちのキャリアアップにも繋がる先進国での就労を後押しするため、積極的に活動されている。サングマ首相とは2025年4月に初めて面談したが、アポなしの突然の声掛けで、しかも夜半過ぎの会合だった。
日本へは2年前に2名の看護師を送り出し、現在は37人にまで増えているが、ポテンシャルは大きいとみているようだ。サングマ首相は、看護や介護だけではなく、日本が深刻な人材不足に向かう物流(トラックドライバー)、IT、食品製造などの分野についても人材を供給する考えであり、日本への人材送り出し数は、初年度500人、5年で5,000人、将来的には10,000~15,000人の規模にまで増やすことを目指している。日本とインド北東部の文化や食事の類似性、日本語研修をシロンで受けられるようになること(これまでは陸路3,000㎞離れたベンガルールまで行く必要があった)などがサポート要因になると考えているようだ。また、日本で働く37人の平均的な送金額は月額10万ルピー(1ルピーは1.75円、メガラヤ州の一人当たりGDPは年15万ルピー)と高く、経済的なメリットも日本での就労を後押しするとみているようだ。
サングマ首相の熱い想いに対し、弊社の西川は、セレモニーにおいて、「日本での就労を目指す皆さんが、日本の優良企業に就職し、より多くの収入を得て母国にたくさん送金できるようにすることが私の使命だ」と述べた。多くの人々に幸福をもたらす、高品質な人材サプライチェーンの構築に全面的に協力する意思を明らかにした。サングマ首相は、「このようなパートナーシップは多くの国々と締結できるものではない」と述べ、日本および弊社とのパートナーシップを深めていく意向を示された。
アッサム州の学校設立に続き、メガラヤ州の日本語教育スタートによって、日本とインドの人材交流の絆を深めるための日本語教育拠点は2つになった。2017年に始まった「アクト・イースト・フォーラム(Japan-India Act East Forum)」を通した日本政府の地道な実績の積み上げが、インド北東部の指導者層の弊社のアプローチに対する好意的な理解に繋がっていると考えている。既に3つ目の拠点としてナガランド州(アッサム州の東、ミヤンマーと国境を接する州で、州都は第二次世界大戦ではインパール作戦の激戦地だったコヒマ)との折衝が始まっており、3州合計の人口は4千万人(うち6割が30歳未満)となる。教育レベルの向上や、州をまたいだ広域協力による施設の拡充、人材育成コストの低減などを通して、質量ともに充実した人材サプライチェーンの構築が進むことが期待でき、日本の産業や社会活動の持続可能性の維持向上に貢献できると確信している。
《感謝の気持ち》
これから先の旅路はまだまだ長いので、一里塚に辿り着けたことを喜んでいる場合ではないことは承知しております。しかし、一里塚に辿り着けたことについては、ご支援いただいた多くの方々に心から感謝申し上げたいと考えております。アッサム州のサルマ首相との邂逅を含め、多くのチャンスをくださったシビ・ジョージ前駐日インド特命全権大使、日印両国の人材交流が日本にとって必要だという認識を共有していただき、恐れ多い言い様ではありますが、まるで同志のようにサポートしていただいた額賀福志郎衆議院議長には心から厚く御礼申し上げたいと存じます。
また、多くの方々の親切丁寧なご指導がなければ、一里塚を拝むことはできなかったと考えております。日印両国の発展に尽くされている関係各省庁の皆様には多くのご指導を賜りました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。弊社は、日印の良質な人材交流が、日印両国に幸福をもたらし、それが日本の抱える様々な問題の解決に繋がるという考えのもとで行動させていただいております。猪突猛進、脇目も振らず突き進んで参りましたため、ご迷惑をおかけしたり、ご不興を買ったりすることもあったと思いますが、志に免じてご容赦賜りたく、引き続きご指導を賜りますようお願い申し上げます。
お客様にも、荒唐無稽なお話をさせていただきましたが、社員一丸となって、インドにおける日本語教育のための施設数拡大に取り組み、ご報告の次第となっております。インド東北部の人材活用をご検討いただけますようお願い申し上げます。