高度人材 – 2015年に在留資格「高度専門職」が新設され、高度な技術や知識を持った人材がより日本で働きやすくなるよう、制度設計がされました。本記事では、在留資格「高度専門職」について解説していきます。
高度人材とは
高度人材は、内閣府では「企業においてイノベーションのけん引役となるような、専門性の高い人材、あるいは研究開発や海外進出を担う人材」(内閣府 – 第3章 人的資本とイノベーション 第2節)と定義づけられています。
上記定義では日本人も含まれておりますが、本記事では外国人に限定し、
高度人材 = 高度外国人材
という意味合いで解説をしていきます。
高度外国人材については、第4次産業革命により国際的な人材獲得の競争が激化する中、高度外国人材活躍推進ポータル(jetro)などを設置し、高度人材の獲得を図っています。
高度人材(高度専門職ビザ)のメリット・デメリット
そういった高度人材を広く日本に受け入れていくために、在留資格「高度専門職」を2015年に新設し、制度化を進めました。
それでは、高度人材(高度専門職ビザ)のメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
メリット
- 許可外の活動ができる
- 最初から5年の在留資格
- 両親などの家族滞在が条件付きで認められる
デメリット
他の在留資格と比較して、相当優遇されており、これとして大きなデメリットはありません。
高度専門職の区分
高度専門職には、その内容によって、4つの区分があります。
- 高度専門職1号イ
- 高度専門職1号ロ
- 高度専門職1号ハ
- 高度専門職2号
高度専門職2号は、最初から取得することができず、高度専門職1号を取得したのち3年以上経過していることが求められます。1号から分かれているイ、ロ、ハは、下記表のように活動内容によって、分類がされています。
高度専門職ビザで認められている職務内容は、技術・人文知識・国際業務と同じものです。
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項、芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の経営・管理の項から教育の項まで及び企業内転勤の項から興行の項までの下欄に掲げる活動を除く。)
入管法別表第1の2
技術・人文知識・国際業務
「高度人材ポイント制」
それでは高度専門職ビザを取得するためには、どのような要件を満たす必要があるでしょうか。
そもそも「高度人材」とは何をもって、高度と認定するのかという問いもあります。
その「高度」さを測定するために作られたものが、「高度人材ポイント制」です。
高度外国人材の活動内容を,「高度学術研究活動」,「高度専門・技術活動」,「高度経営・管理活動」の3つに分類し,それぞれの特性に応じて,「学歴」,「職歴」,「年収」などの項目ごとにポイントを設け,ポイントの合計が一定点数(70点)に達した場合に,出入国在留管理上の優遇措置を与えることにより,高度外国人材の我が国への受入れ促進を図ることを目的としています。
(https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/newimmiact_3_system_index.html)
まとめると、
イ、ロ、ハの区分ごとに、項目が設けられ、ポイント合計が70点以上に達した場合に、高度専門職としての人材要件を満たすことができる
というものです。
70点以上を満たすことができれば優遇措置を受けることができるとされており、その具体的な優遇内容は凡そ、メリットに上げさせていただいたものです。
高度専門職と特定技能等との違い
高度専門職では、多くの優遇措置が認められているとはいえ、やはり制限はあります。例えば、高度専門職ビザでも転職の際には在留資格変更許可申請をする必要があります。この点、特定技能ビザと同じですね。
特定技能との大きな違いは、
- 最初から5年の在留期間となる。(特定技能の場合は1年等で更新手続きが必要)
- 配偶者のフルタイム勤務が可能。
- 条件を満たせば、親の帯同もできる。
といったものがあります。
「高度専門職」人材の採用方法
高度人材を採用したい場合、その流れは日本人の採用と大きくは変わりません。
大まかに上記のような流れです。
募集に関して、外国の大学等との連携が必要な場合もありますので、独自ネットワークを持つ我々のような組織にお任せください。また、ビザ関係の手続きも難しそうに思うかもしれませんが、そこも我々のような外国人材に特化した会社にお任せください。
*特定技能では、ビザ手続き(在留資格認定)に1か月から3か月ほどの時間がかかってしまいますが、高度専門職の場合は審査も優遇されており、短い期間での取得が可能です。
令和4年10月1日~令和4年12月31日の期間に、特定技能では70日かかっている在留審査処理ですが、高度専門職の場合は、20日前後となっております。
(1号イ:20.4日、1号ロ:18.1日、1号ハ:44.2日)
高度人材 申請の流れ
大まかに上記のような流れです。
高度人材 大学ランキング
余談ですが、高度専門職では大学卒業と同等程度以上の学歴が求められています。
さらに、大学のランキングに応じてポイント制の加点があります。(10点)
*申請時点でのランキング。
日本の大学を卒業していれば、相当ハードルが下がりますね。
まとめ
以上で簡単に、高度専門職について解説いたしました。
総論的に解説をしたので、個別ポイントについては、別記事で詳細を説明していきたいと思います。