特定技能 – 日本国内の労働人口不足への対策として、日本政府は外国人が国内で働きやすくなるように法整備を進めています。その制度の一つが特定技能制度です。本記事では、特定技能制度についてワンストップでご理解いただけるように解説いたします。
中小企業から大手企業、医療法人、社会福祉法人まで、様々な法人様にご利用いただいております。
特定技能とは?技能実習生との違い
それでは、特定技能制度とは、どのようなものなのでしょうか。「技能実習生」であればイメージはしやすいですが、「特定」技能とは何なのか、技能実習生制度とは何が違うのかをはっきりと理解されている方は少ないです。ざっくりと言うと、技能実習生制度の親戚のようなものですが、実は制度が作られた目的という根幹部分から異なっています。
- 技能実習生制度:我が国で培われた技能、技術又は知識を開発途上地域等へ移転することによって、当該地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として1993年に創設された制度。(https://www.jitco.or.jp/ja/regulation/)
- 特定技能制度:国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度。2018年に可決・成立した改正出入国管理法により在留資格「特定技能」が創設され、2019年4月から受入れが可能となりました。(https://www.jitco.or.jp/ja/skill/)
技能実習生制度は、日本国の労働力確保のためではなく、世界への貢献という色が強いです。
一方で、特定技能制度は、労働力の確保を第一の目的として謳っており、特に人材確保が難しい特定の分野に限って、外国人の就労を認めております。
- 技能実習制度 = 日本の技術・知識を発展途上国に伝えていく。
- 特定技能 = 労働力を確保していく。
ざっくりとこのように覚えていただければ分かりやすいです。
特定技能制度のメリット
特定技能制度のメリットは、その制度趣旨からも分かる通り、
という点にあります。
(実態として、技能実習生制度も人手不足解消の手段として見られている面もありますが、ここでは触れません。)
国内の各企業様から、人手不足だという悲痛な声が年々増加しています。もはや日本人だけでは労働力を補うことは困難で、これは年々悪化していきます。
今は日本人だけで労働力を賄うことができている企業様でも、10年後・20年後の人員計画を見据えて、企業内に外国人雇用のノウハウを蓄えていくことは重要になってくると推察します。
特定技能制度のデメリット
デメリットは
- 転職可能
- 日本人と同様の待遇
- 5年の制限があること
等があります。
特定技能で認められている在留資格(1号・2号)
それでは、どのようにすれば特定技能として外国人を採用することが可能なのでしょうか。いくら足りない労働力を補うためとはいえ、制限がなければ、大変なことになってしまいます。
そこで、
在留資格「特定技能」
を創設することで、本制度の管理を図っています。
(*技能実習生制度では、在留資格「技能実習」となっております。)
特定技能1号
「特定技能1号」は,特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能 を要する業務に従事する外国人向けの在留資格(https://www.moj.go.jp/content/001326468.pdf)
1号で雇用できる業種は、14業種に制限されており、受入れ機関または我々のような登録支援機関からの支援の実施が要件となっております。
特定技能2号
「特定技能2号」は,特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格(https://www.moj.go.jp/content/001326468.pdf)
2号は、1号よりもさらに狭く、2023年4月時点で建設分野、造船・船用工業分野の2分野のみとなっております。
ほとんどの企業担当者様が外国人材の採用を検討する場合、まずは1号を念頭に置かれると良いでしょう。
ただ、外国人なら誰でも1号の取得対象になるかと言えば、そうではありません。
それでは次に、どのような外国人が1号の対象になるのかを解説していきます。
>> 特定技能1号と2号の違いは?特定技能ビザについて徹底解説
特定技能試験
在留資格である「特定技能1号」を取得するためには,
- 特定分野の技能
- 日本語能力
に関する試験に合格する必要があります。
特定技能評価試験
このうち
特定分野の技能
の試験は「特定技能評価試験」と呼ばれています。
試験は、1号の14分野について、各所轄省庁が試験を管轄しており、働くことを希望する分野別に試験を受験する必要があります。
技能実習2号を修了している場合は試験を免除されますが、この「特定技能評価試験」は分野別に試験があることに注意してください。
*技能実習時の業種と、特定技能で希望する分野の業種が異なる場合、試験を受験し合格する必要があります。転職についても同様で、分野を跨ぐ転職の場合は、事前に試験に合格している必要があります。
日本語試験
日本語能力は、
- 日本語能力試験(JLPT)のN4以上
- 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)のA2レベル以上
のいずれかに合格していることが求められます。
特定技能ビザ
前述した試験に合格していれば、特定技能ビザを取得する最初の関門をクリアしています。
ビザを取得するための簡単な流れをまとめると
というものになっています。
この中で、3から6の手順については、
我々のような登録支援機関がサポートをするため、企業様側が実際の手続きに赴く必要はありません。
特定技能の登録支援機関とは?
ここまでで度々「登録支援機関」という言葉が出てきました。
特定技能1号を雇用する企業様は、外国人人材が業務や日常生活を円滑に営むことができるようにサポート体制を構築する必要があります。
そのサポート内容は、外国人人材への支援計画策定から、各種手続き、病院等の対応等、非常に多岐にわたります。
こういったサポート体制を、企業様自身で構築することも問題ありませんが、人事担当者様に相当な負担がかかってしまいます。
そこで、そういったサポートを「登録支援機関」に委託することができるという制度設計になっております。
我々アセアン・ワンも登録支援機関として、法務省から認可を受けております。
*出入国在留管理庁「外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組み」より
特定技能職種
特定技能1号は、
14分野
という言葉がこれまでに何度も出てきましたが、これから解説させていただきます。
14分野とはズバリ以下の分野です。
- 介護
- ビルクリーニング
- 建設
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
>> 特定技能の職種 – 特定産業分野12業種(旧14業種)について
特定技能募集・求人
特定技能の区分で人を雇用する場合、採用活動の流れは日本人人材と大きく変わりません。人材紹介会社への依頼や求人広告をかけて、候補者を募集し、その後面接をするという極めて一般的な流れです。
大きく異なる点と言えば、採用後の手続き面でしょうか。
ただ、面倒な手続き面は我々のような登録支援機関がサポートをさせていただきますので、実務上は大きな差はありません。
担当者様によっては、海外の現地に出向いて面接をされる方もいらっしゃいますが、
現地の紹介機関に集まってもらい、紹介機関とリモートで接続をし、まとめて面接をするような形態が増えてきております。
特定技能制度を使う上で、企業担当者様が注意しなければならないこと
よく誤認があるポイントとしては、
- 報酬額や労働条件は日本人と同等以上にしなければならない
- 一時帰国を希望する場合、休暇を取得させなければならない
というものです。
労働条件について、技能実習制度と大きく異なるので、注意が必要です。
一時帰国についても、
「受け入れ企業は、特定技能外国人から一時帰国の申出があった場合は、事業の適正な運営を妨げる場合等業務上やむを得ない事情がある場合を除き、何らかの有給の休暇を取得することができるよう配慮を求める」
(https://www.moj.go.jp/isa/content/930004944.pdf)
と明言されており、この点注意が必要です。
旧正月等、外国のお正月は日本とは期間が異なっていることもあるため、就労者への配慮が求められます。
また他の基準として、
受入れ機関自体が満たすべき基準
- 労働,社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
- 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
- 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
- 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がない等)に該当しないこと
- 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
- 中長期在留者の受入れ又は管理を適正に行った実績があり,かつ,役職員の中から,支援責任者及び支援担当者を選任していること(兼任可)等(*)
- 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること(*)
- 支援責任者等が欠格事由に該当しないこと(*) など
*は,登録支援機関に支援を委託する場合には不要
といったものもあります。
ちなみに、給料の手渡しも禁止です。
特定技能についてよくある質問
まとめ
以上で簡単に、特定技能について解説いたしました。総論的に解説をしたので、個別ポイントについては、別記事で詳細を説明させていただきたいと思います。